皆さん、こんにちは。ブルースです🦇(ブルースTwitter)
「サイコロジー・オブ・マネー」ってお金の勉強にどうかな?
こんなふうに考えている人のための記事です。
2021年12月8日に「サイコロジー・オブ・マネー」が日本でも発売されました。
著者はモーガン・ハウセル氏、世界43か国で70万部以上のヒットになった作品です。
Amazonレビューなどで高評価だったため、早速読んでみましたが、結論、今年読んだマネー本の中では1番面白かったです!
完全に私の独断と偏見です!
この記事では「サイコロジー・オブ・マネー」の書評を述べます。
- 書評
- 一部抜粋
- どんな人が読むべき?
本記事をお読みいただければ「サイコロジー・オブ・マネー」の魅力がわかります。

書評
サイコロジー・オブ・マネーはどんな方にオススメしたいか?
そんな風に問われるとしたら、「お金との向き合い方を学びたい全ての方」と言えます。
世の中にはさまざまなマネー本があります。
- 貯金に特化した本
- 株式投資の本
- 暗号資産やFX
- 不動産投資
この本は、そういった個別の蓄財方法を伝える本ではありません。
また数理的な正しさに偏った本でもなく、どの投資法が良いかという些末なことを検証をしている本でもありません。
書籍のタイトルにあるサイコロジー・オブ・マネーは「お金の心理学」と訳すことができます。
本書は心理学的な観点や、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットなどの実在の人物の話をもとに
- 客観的なデータからみえるお金の真実
- お金は人間をどう変化させるか
- どうお金と向き合うべきか
このようなことについて深く考えさせられる1冊です。
またよく投資界隈でみられる
- 個別株とインデックス投資どっちがいい?
- 高配当株は良い悪い?
- レバレッジを掛けるべきか否か?
こういった論争や舌戦は、個人の目的やバックグランドまで加味して論じないと、如何に意味がない無駄な議論かもこの本を読むとわかります。(筆者であるモーガン氏はインデックス投資が自分に最もあった心地が良い投資方法であるとは言及しています)
この本は投資法どうこうなど、小さいことに終始していない。
客観的な事実と、人間の心理からくる行動面の問題に触れています。
これから投資を始めようとしている方はもちろん、ベテラン投資家までぜひ手に取ってお読みいただくことをオススメします。
お金に対する自分の認識や方向性を再認識することができ、さらにマネーリテラシーを高めることができるでしょう。
一部抜粋
本書は20章から構成されています。
それぞれは短くまとめられていて非常に読みやすいです。
今回はその中でも私がコレ!と思ったものを引用して述べていきます。
少々文字が多くなりますがお付き合いください!
人は経済的な判断を行うとき、その時点で得た情報を、自分独自の「世界の仕組み」に当てはめて正当化している。その情報は間違っているかもしれないし、不完全かもしれない。計算が苦手な人もいれば、怪しいマーケティングに説得されてしまう人もいるだろう。それでもそれは、その瞬間には、当人にとって意味のあるものなのだ。人はストーリーを語ることで自分自身を説得しているのである。そしてそのストーリーは、自分独自の経験に基づいてつくられている。
書籍内では、貧困層が高所得者の4倍も「宝くじ」を買う理由で説明されています。
ある程度金融リテラシーが高い人なら「異常」な行動に思えるでしょう。
けれどもアメリカでは様々な娯楽を組み合わせた額よりも「宝くじ」に消費される金額は大きく、その殆どが貧困層の消費によるものです。
一見異常ともとれますが、お金に関する意思決定は表計算ソフトだけで行われておらず、個人のバックグラウンドや世界観など様々な要素が絡み合って決定されています。
その人のバックグラウンドまで考えると、宝くじを買うことも「本人の合理性に基づいての行動」なのだ。
教育熱心な両親のもとに生まれるものもいれば、勉強以外のことを重視する両親のもとに生まれるものもいる。起業が奨励される豊かな経済の中で生まれるものもいれば、戦争や貧困の中で生まれるものもいる。
パパは君に成功してほしい。君が自分の力で成功を勝ち取ることを願っている。だけど、あらゆる成功が努力によるものでもないし、あらゆる貧困が怠惰によるものでもないことは知っておくべきだ。誰かを(自分自身を含めて)評価するときは、このことを忘れないように。
私たちはウォーレン・バフェットを目指してはいけない。という頁で筆者が息子にむけて書いた手紙でこのように述べられています。
大切なことは特定の個人や事例ではなく、もっと大きなパターンに注目すべきとあります。
億万長者や人生の成功例となると一部の天才がフォーカスされがちですが、これらの天才にも運の要素が少なからずあります。
極端な個人を真似するよりも、成功と失敗に繋がる本質的な要素を学ぶことの方が重要という意図で書かれています。
天才の真似をするのではなく、大きな成功パターンを掴むことが大切!
努力をして結果を手にしても、それに合わせて求める基準を上げ続けるのなら、いつまでたってもさらなる結果を求め続けなければならない。「もっと多く」の金、権力、名声を手にいれたいという欲望にかられ、満足感よりも野心のほうが大きくなっていく。
「足るを知る」ということがキーワードとしてあげられています。
幸福とは、「結果から期待値を差し引いたもの」とも述べられていて、この期待値は自分で上下させることができます。
際限なくゴールを求めていけば、終わりのない「富のゲーム」の参加者となり、永遠にお金や権力を求めることになります。
人は、吐くまで食事を食べ続けないようにコントロールできます。それがお金、権力、ビジネスなどが絡んだ途端、正常な判断ができないようになります。
どこかでブレーキをかけることが必要でしょう。
お金を増やすことと同時に、自分で満足できるポイントを探したり、
幸せを自分で定義することが重要ですね!

ウォーレン・バフェットが富を築いた方法をテーマにした本は、これまでに2000冊以上も出版されている。そのなかには優れたものも多いが、バフェットの資産形成に関するごく単純な事実に十分な注意を払っているものは少ない。すなわち、バフェットが莫大な資産を築いたのは、単に彼が優れた投資家であったからではなく、”子どものころから優れた投資家であったから”という事実である。
この頁では、ウォーレン・バフェットを類まれなる投資家であることを認めながらも、
「複利の長期利用>投資の腕前」ということを示している。
バフェットの資産845億ドルのうち、842億ドルは、バフェットが50歳になった後から形成された資産であると述べられています。
それほど複利の力を長期で利用することにはインパクトがあり、投資を早く始めることのメリットがあるということです。
複利の力をずっと受け続けることの重要性がわかる!
資産形成を行いたいのに投資をまだ始めていない方は、できる限り早く投資を始めることを推奨します。
【FIREに必須】株式投資の始め方とオススメの投資法を解説【初心者むけ】
バフェットは、投資に熱中するあまり過度の借入をすることはなかった。
14回の不況を経験したが、パニックになって売りに走らなかった。
ビジネス上の評判も落とさなかった。
特定の戦略や世界観、トレンドに固執しなかった。
他人の金にも頼らなかった。
燃え尽きて投資を止めたり、引退したりすることもなかった。
バフェットの「投資収益率」ではなく、バフェットが「何をしなかったか」に注目することが大切であると述べられています。
これは投資でよく言われることですが、市場に居続けることの重要性を示しています。
「裕福になること」以上に「裕福であり続けること」を意識しなければなりません。
退場スレスレのプレーよりも市場に安定して居続けることができるプレーが大切!
最高の豊かさとは、毎朝、目を覚ましたときに「今日も思い通りに、好きなように過ごそう」と思えることだ。人は、「幸せになりたい」から経済的に豊かになろうとする。幸せとは喜びの源だからだ。だが、何をもって幸せとするかは人それぞれで定義するのは難しい。
とはいえ、誰にとっても共通の要素はある。それは「思い通りの人生を送れること」だ。好きな時に、好きな人と、好きなだけ、好きなことができる。それは何物にも代えがたい価値がある。そしてそれこそが、お金から得られる最高の配当なのだ。
本書では、FIRE(Financial Independence Retire Early)、すなわち、経済的独立を得ての早期退職については触れられていませんが、経済的に自由になることが、幸せな人生を送るうえで重要な要素であることについては言及されています。
FIREについては以下の記事でご覧ください。
本書にはこれ以外にもFIREに重要な考え方がいくつも登場します!
パーソナル・ファイナンスで成功している人は、高収入だとは限らない。富を築く人には、他人の目を過度に気にしないという傾向がある。つまり貯金の能力は、あなたが思っている以上に自分でコントロールできる。貯金は、支出を減らすことで生み出せる。欲望を抑えれば、支出を減らせる。他人の目を気にしなければ欲望を抑えられる。本書でも何度もみてきたように、お金の問題にはサイコロジー(人間心理)が大きく関わっているのだ。
「収入-エゴ=貯蓄」でエゴを減らせば減らすほど富が貯まります。
ファイナンスの成功は「貯蓄率」に影響されるという考え方もFIREに共通する考えかたです。
貯蓄率の重要性は以下記事で述べています。
FIRE(早期リタイア)に最も重要な指標は【貯蓄率!】その理由を解説!
貯蓄率はFIREの最重要指標の1つ!
合理的な思考は、決して数理的な思考よりも劣っているわけではない。たとえば、「投資資産を好きになることが生む優位性」がその一つだ。
投資資産に思い入れを持たないことは、投資家にとって冷静で理性的であることの証明だと見なされ、名誉なことだとも思われている。しかし採用している戦略や保有している銘柄に思い入れがないと、困難に陥ったときに簡単に手を引きやすくなる。
合理的な投資家は、理詰めで考えれば欠点があるような戦略を好む。そのため、困難な状況でもその戦略を簡単には放り出さない。それが結果的に長い目で見れば優位に立てるのである。
合理的正解は数理的正解に勝る。これはけっこう目から鱗でした。
投資の手法は様々あれど、
- その銘柄を好きなこと
- 自分の戦略を信頼していること
- 自分が納得できる投資方法をしていること
こういった要素が投資に継続性を持たせ、パフォーマンスに繋がることがあるというのは投資の妙味ですね。
また、人生は常に一貫しているわけではないともあります。
誤っていたときには柔軟性をもって変えていくことも必要ですね。
必ずしも理詰めの投資がよいとは限らない!
※殆ど本文では触れられていませんが、筆者はインデックスを実践しているとのことです。
生活のバランスなど諸々を考慮した結果、この投資方法に行きついたとのことでした。
インデックス投資の魅力についても記事を書いていますので、以下からご覧ください。
【FIREできます!】資産形成にオススメなインデックス投資とは?5つのメリット、デメリットも解説
複利は、何年、何十年もかけて成長させると最大の効果を生み出す。これはお金だけでなく、キャリアや人間関係にも言えることなのだ。
鍵を握るのは持続性だ。人間は時の経過とともに変化していく。だからこそ、人生のあらゆる場面でバランスをとることが、将来の後悔を防ぎ、投資を長く続けるうえでも最善の戦略になる。
現役時代に、貯蓄、自由時間、勤務時間、家族と過ごす時間などをすべて適度にすることを目標にすれば、極端な場合よりも、計画を継続しやすく、後悔もしにくくなる。
極端に何かに偏って、バランスを欠いた人生は、大きく後悔をします。
過度な支出は、老後の人生を惨めなものにし、過度な倹約でお金だけを追い求めると失った時間を取り戻せなくなります。
資産運用をしている人、とくに早期でリタイアメントを考えている人には、このバランスのよいポイントを探していくことが幸福の最大化に繋がることでしょう。
ポイントはお金を使う力にありそうですね!

まとめ
今回は以上です。
お金に関する書籍としては、久々に凄い作品だったな!と読み終わったあとに気持ちの良い爽快感がありました。
FIREを謳っている本ではないのですが、自分の取り組みに共通している資産形成の要素がふんだんに盛り込まれていますし、自分がやってきた資産形成と近い価値観を感じることができました。
じゃあFIREを目指していない私には不要?
という声があるかもしれませんが、そんなことありません。
上記にあげたように、この書籍は万人に通用する「真理」が書かれています。
- お金について学びたい
- 投資で通用する考え方を身に着けたい
- お金と付き合っていく方法を知りたい
少しでもこういった意欲がある方は、ぜひ一度目を通していただくことをオススメします!
きっと満足させてもらえる1冊ですよ!
お楽しみいただけましたら幸いです。
それではまた!
資産運用で学べる本をいくつか如何に載せておきます。